ユング心理学ってどういう風に作られたのだろうと思った事はありませんか?
実は、ユング心理学の創始者/カール・グスタフ・ユングはアクティブイマジネーションという技法を使ってユング心理学の根幹を構築したと言われています。
私、天竹みのるるる尾は、スピリチュアル・アートを志していますが、そんな活動の中で、自己対話という技法を行い、最近それがアクティブイマジネーションに近いところがあるのではないかと思っています。
そんな中で、このページでは、ユング心理学の心の探求技法であるアクティブ・イマジネーションという技法に関心を持ったため、調べたことを徹底解説したいと思います。
ぜひ、ご閲覧ください。
Contents
アクティブ・イマジネーションとは?
アクティブ・イマジネーション(active imagination)はスイスの心理学者カール・グスタフ・ユングが開発した、無意識と対話するための心理的技法です。
ユングは患者との対話や、患者と夢について聞く事、自身の夢体験などから、無意識と意識的に対話することに関心を持ったのだと思われ、行うようになったようです。
これは、単なる「空想」や「白昼夢」とは異なり、意識がはっきりした状態で、内面から湧き上がるイメージに主体的に関わっていく手法です。

ユングはこれを使って、ユング独自の心理学の根幹を作ったとも言えるものです。
主にユングの著作である「赤の書」「黒の書」で使われました。
基本的な考え
通常、私たちの「自我(意識)」と「無意識」の間には壁がありますが、アクティブ・イマジネーションはその壁を越えて交流を試みます。
要点
- 受動的でなく能動的;
夢を見ることは受動的な体験ですが、アクティブイマジネーションでは、夢を見て(夢に限らない場合もある)、起きた後に、現れたイメージ(人物、怪物、象徴など)に対して、自分から問いかけたり、行動したり、コミュニケーションを取ろうとします。 - 「もう一人の自分」との対話;
自分の心の中に住む「自分とは異なる人格や感情」を擬人化し、対等に話し合ったりするプロセスです。
アクティブ・イマジネーションの治癒的・成長的意味
ユングの理論的背景を探ると、アクティブイマジネーションが単なる「想像」ではなく、なぜ「治療的・成長的意味を持つのか」が見えてきます。
その根底には、ユング心理学の核心である「意識と無意識の相補性(補いあう関係)」があります。
治療的・成長的な意味についての4つ
治療的な意味は4つあります。
その1/心の構造と対立物の合一
ユングは心(サイキ)を「意識」と「無意識」の二層構造として捉えました。
(この時の無意識とは、無意識=個人的無意識+集合的無意識という事。)
- 意識(自我); 私たちが自分だと認識している部分。
- 個人的無意識; 忘れてしまった記憶や抑圧している感情
- 集合的無意識(普遍的無意識); 人類共通のイメージの源泉。ここは「元型(原型)(アーキタイプ)」が存在します。
ユングによれば、心は常にバランスを取ろうとします。(自己調節作用)
意識が偏った方向に行きすぎると、無意識がそれを補おうとして、夢や象徴的なイメージを送り込んできます。
アクティブイマジネーションは、この「意識と無意識の対立」を解消し、一つに統合(対立物の合一)するためのプロセスです。
その2/超越的機能(Transcendent Function)
これはアクティブ・イマジネーションを支える最も重要な理論的コンセプトです。
意識と無意識が対話し、お互いが影響しあう事で、「新しい第三の立場」が生まれることをユングは「超越的機能」と呼びました。
例えば、「A(意識)」と「B(無意識)」がぶつかり合って動けなくなった時、アクティブイマジネーションを通じて対話を続けると、どちらでもない新しい「C」という新しい洞察や解決策が生まれます。
これにより人格が一段階上のレベルへと進化します。
その3/個体化(自己実現)のプロセス
ユング心理学の最終目標は個体化(individuation)です。
(ここでは個性化ではなく、「個体化」)
これは社会的な顔(ペルソナ)だけでなく、自分の中にある未知の側面を統合し、「本来の自分(自己/self)」になるプロセスを指します。
アクティブ・イマジネーションはこの個体化のための「直接的作業(work)」です。
- 影(シャドウ)との遭遇;
自分が認めたくない自分自身の側面を、イメージとして具現化し、受け入れる。 - アニマ・アニムスとの対話;
自分の中にある異性的エネルギーを理解し、創造性に変える。
その4/なぜ「書く」「描く」ことが重要なのか?
ユングはイメージを頭の中にとどめておくのではなく、絵や彫刻、あるいは日記として「形にする(客観化する)」ことを重視しました。これには2つの理由があります。
- 1,意識の保持;
形にすることで、無意識の渦に飲み込まれず、客観的な観察者としての「自我」を保つことが出来る。 - 2,現実への定着;
形なきイメージを物質的な現実に引き寄せることで、内面の変化を現実の人生に定着させる。
どの様な時に役立つか
アクティブ・イマジネーションは以下のようなことに役に立ちます。
- 言葉に出来ないモヤモヤした感情を整理したいとき
- 夢の内容が強烈で、その意味をより深く知りたいとき
- 自分の中の矛盾(やりたいのにできない、など)を解消したいとき
- 手近な相談相手が欲しいとき
等があると思います。
そして、ユング自身が、精神的危機の時期をこの手法を用いて、自分の内面から現れる「フィレモン」という賢者のイメージと対話を重ねることで、自らの心理学体系を築き上げました。
実践の段階
それではここでは、アクティブ・イマジネーションの具体的実践とはどのようなものか、についての話をしていきたいと思います。
4つのステップ(概要)
まず、一般的には以下の4つのステップで行う事が多いです。
| プロセス | 内容 |
| ステップ1; 心を静める |
瞑想に近い状態でリラックスし、意識の集中を内面に向けます。 |
| ステップ2; イメージを持つ |
浮かんできた断片的なイメージ、夢の続き、あるいは強い感情を視覚化します。 |
| ステップ3; 対話・介入 |
そのイメージに対して、言葉をかけたり、一緒に歩いたり、戦ったりします。「何が起きるか」をコントロールせず、相手の反応を待ちます。 |
| ステップ4; 記録と統合 |
体験した内容を日記、絵、粘土細工などで形に残し、現実の生活にどう結び付くか、考えます。 |
より具体的な方法論
アクティブ・イマジネーションの方法論(テクニック)のプロセスをより具体的に説明すると以下のようなことになります。
1,意識の低減
まず、日常の論理的思考(「これは正しいか?」「役に立つか?」)のスイッチを切る段階です。
- 意識的な受容;
瞑想やリラックスを通じて自我の「検閲」を緩めます。 - 素材の特定:
ぼんやりと浮かぶ残像、気になる感情、あるいは体の違和感など、対話の「取っ掛かり」を選びます。
2,イメージの具体化
断片的な素材を観察可能な「イメージ」にまで育てます。
- 五感の動員;
「その感情に形があるとしたら?」「その音に色があるとしたら?」と問い、視覚、聴覚、触覚などで捉えられる対象として、目の前に定着させます。 - 自立性の付加;
自分の意志で動かすのではなく、イメージが勝手に瞬きをしたり、風に揺れたりするのを待ちます。これが「無意識が自律的に動き出した」サインです。
3,自我の介入と対話
ここがアクティブ・イマジネーションの核心であり、単なる空想との違いです。
- 対等な参加;
現れたイメージに対しいて、現実の「自分」として接します。 - 倫理的な主張;
相手の言いなりになるのではなく、「私はそれは嫌だ」「なぜそう思うのか教えてほしい」と、現実世界の価値観を持って交渉します。 - 変化の観察;
あなたが働きかけることで、イメージがどう変化するか(怒り出す、光り輝く、しぼんでしまう等)を注視します。
4,記録と形への統合
イメージの世界で起きたことを現実の世界に引きずり出します。
- 客観化;
体験を日記に書く、絵に描く、詩にするなど、他人が見てもわかる形にします。 - 解釈と実行;
「この体験は現実の生活のどの部分を指示しているか?」を考え、小さな生活上の変化(行動)に結び付けます。
実践における「3つの基本ルール」
方法論として、これを行う際、常に守るべきルールがあります。
- 何でもありではない;
物理法則は無視できますが、「心理的誠実さ」は無視できません。
嘘をついたり、イメージを馬鹿にしてはいけません。 - 物語を完結させない;
映画のようにきれいに完結させようとせず、中途半端でも、不気味なままでも、その時の「真実」をそのまま残します。 - 自分を捨てない;
イメージの世界に入り込みすぎて、自分を見失ってはいけません。
常に「観察している自分」と「参加している自分」を同時に保ちます。
行う際の注意点
この技法は非常に強力であるため、以下の注意点があります。
- 現実との区別;
イメージの世界に飲み込まれ、現実との境界があいまいになる危険(精神病的な状態への接近)があります。 - 自我の強さが必要;
自分のアイデンティティが不安定な時期に行うと、無意識の圧倒的なエネルギーに圧倒されてしまう事があります。 - 専門家のガイド;
本来は、分析家などの専門家の指導の下、行うのが安全とされています。
他の心理療法との違い
アクティブ・イマジネーションと似た技法は、他の心理療法にも存在します。
とくに有名なのが、ゲシュタルト療法の「エンプティ・チェア」や、NLP(神経言語プログラミング)の「ポジション・チェンジ」、あるいは「インナーチャイルド・ワーク」です。
他の技法の例
- エンプティ・チェア
エンプティ・チェアは目の前に空の椅子を置き、そこに「誰か(親や上司など)」や「自分の感情」が座っていると仮定して対話する技法です。

- インナーチャイルド・ワーク
自分の中の「傷ついた子供」を癒す技法です。

- ポジション・チェンジ
「自分の視点」「相手の視点」「第三者の客観視点」を物理的に移動しながら切り替える技法です。

アクティブ・イマジネーションの独自性
最大の違いは、無意識の自立性(Autonomy)をどこまで信じているか、という点にあります。
多くの技法は、自我(意識)が主導権を握り、「問題を解決しよう」「癒やそう」という明確なゴールを持って行われます。
しかし、アクティブ・イマジネーションは無意識が何を言いたいか、私(意識)には想像もつかないという謙虚な姿勢から始まります。
違いを理解するための比喩
- エンプティ・チェアの例;
鏡に向かって、自分の別の顔に話しかける。 - NLPの例;
部屋の四隅に立って、同じ問題を違う角度から眺める。 - アクティブ・イマジネーションの例;
深い森に入り、そこに住む「未知の住人」と出会い、交渉する。
良い例えと言えるか、わかりませんが、例えるならこれらのような事が言えると思います。
まとめ
ユング心理学の最強のテクニックといわれるアクティブ・イマジネーションについて徹底解説してきました。
基本的な考え、治療的な意味、そして実践の具体的方法論や注意点、その他の技術などを解説しました。

今後、アクティブイマジネーションを使った絵本などを作れたら、、、作品制作に利用できないか、、、などと模索中ですが、もし、何か作れた際には見ていただけたらと思います。
読んでいただき、ありがとうございます!





ユング心理学・最強の道具などという言われ方もされたりします。