統合失調症者の当事者の天北竹みのるる尾です。
統合失調症の治療というと、お薬による治療や精神療法を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
実は近年、音楽を用いた治療法「音楽療法」が、統合失調症の症状改善に役立つ可能性があるとして注目されています。
この記事では、統合失調症という病気の基本的な特徴から、音楽療法がどのようなアプローチで症状にはたらきかけるのか、そして実際に治療を検討する際にどうすればよいのかまで、わかりやすくお伝えしていきます。
音楽療法がなぜ注目されているのか、その理由を知ることで、ご本人やご家族が治療の選択肢を広げるきっかけになれば嬉しく思います。
統合失調症とはどのような病気か
音楽療法の効果についてお話しする前に、まず統合失調症がどのような病気なのかを整理しておきましょう。
統合失調症は、思考や感情、行動をまとめる脳のはたらきに変化が起こる精神疾患です。
100人に1人弱がかかるといわれるほど、決して珍しい病気ではありません。
発症の原因はまだ完全には解明されていませんが、脳内の神経伝達物質のバランスの乱れが関係していると考えられています。
主な症状(陽性症状・陰性症状・認知機能障害)
統合失調症の症状は、大きく三つに分けられます。
一つ目は「陽性症状」で、幻覚や妄想など、本来ないはずのものが現れる症状です。
二つ目は「陰性症状」で、感情表現の乏しさや意欲の低下、他者との関わりを避けるようになるといった、本来あるはずのものが失われていく症状です。
三つ目は「認知機能障害」で、記憶力や注意力、物事を計画的に進める力が低下する症状を指します。
治療の基本的な考え方
統合失調症の治療は、抗精神病薬による薬物療法を土台としながら、精神療法やリハビリテーションを組み合わせて行うのが基本です。
薬物療法は主に陽性症状の改善に効果を発揮しますが、陰性症状や認知機能障害には別のアプローチが必要とされています。
そこで注目されているのが、音楽療法をはじめとする非薬物療法です。
薬だけに頼らず、多角的に治療を組み立てていくことが、社会復帰への近道になると考えられています。
音楽療法とはどのような治療法か
ここからは、統合失調症の治療法として注目されている音楽療法そのものについて、具体的に見ていきましょう。
音楽療法とは、音楽の持つ心理的・生理的・社会的な働きを活用して、心身の回復や生活の質の向上を目指す治療法です。
単に音楽を聴いて気分転換をするということではなく、専門的な知識を持つ音楽療法士が、患者さん一人ひとりの状態に合わせてプログラムを組み立てて行います。
音楽療法の目的とアプローチ
音楽療法の目的は、症状そのものを薬のように直接抑えることではありません。
感情表現を引き出したり、他者とのコミュニケーションのきっかけを作ったり、意欲を高めたりすることを目指します。
音楽には、言葉を介さずに感情を表現できるという特性があります。
そのため、言葉でのコミュニケーションが難しい状態の方でも、音楽を通じてなら自分を表現しやすくなることがあります。
受動的音楽療法と能動的音楽療法の違い
音楽療法には、大きく分けて「受動的音楽療法」と「能動的音楽療法」の二つのアプローチがあります。
受動的音楽療法は、音楽を聴くことを中心にしたアプローチです。
リラックス効果を得たり、感情を落ち着かせたりする目的で用いられます。
一方、能動的音楽療法は、楽器を演奏したり歌を歌ったりと、自分自身が音を生み出す活動を中心にしたアプローチです。
統合失調症に音楽療法がもたらす効果
音楽療法が統合失調症の治療において注目されている最大の理由は、薬物療法だけでは改善が難しい症状にアプローチできる可能性がある点です。
ここでは、具体的にどのような効果が期待されているのかを見ていきましょう。
陰性症状への働きかけ
音楽療法は、感情表現の乏しさや意欲の低下といった陰性症状に対して、働きかけができる可能性があるとされています。
音楽を通じて感情を表現する機会を持つことで、閉ざされがちな内面が少しずつ外に向かって開かれていくことが期待されます。
医学ニュースを扱うMedical Tribuneの記事でも、統合失調症患者の社会転帰を困難にしているのは、認知機能障害と陰性症状であるとされ、この二つへのアプローチとして音楽療法の効果が報告されています。
つまり、薬物療法だけではカバーしきれない部分に、音楽療法が補完的な役割を果たす可能性があるということです。
認知機能障害へのアプローチ
認知機能障害についても、音楽療法が一定の効果を持つ可能性が指摘されています。
楽器演奏や合唱などの活動では、リズムを合わせたり、次に演奏する音を記憶したりと、注意力や記憶力を使う場面が自然に多く含まれます。
こうした活動を継続的に行うことで、日常生活で必要となる注意力や集中力の維持につながることが期待されています。
社会参加・対人関係への影響
音楽療法は、多くの場合グループで行われるため、他者と一緒に音を合わせる体験そのものが、対人関係の練習の場になります。
言葉でのやり取りに苦手意識がある方でも、音楽を介してであれば自然に他者と関わりやすくなることがあります。
こうした経験の積み重ねが、社会復帰に向けた土台づくりにつながると考えられています。
音楽療法を受けるにはどうすればよいか
音楽療法に興味を持たれた方に向けて、実際にどのように治療を受けられるのかをご紹介します。
医療機関・施設での受け方
音楽療法は、精神科のデイケアやリハビリテーション施設、一部の病院のプログラムの一環として提供されていることが多い治療法です。
まずは主治医に、音楽療法を取り入れているデイケアや施設があるかどうかを相談してみるのがよいでしょう。
自治体や地域の精神保健福祉センターに問い合わせることで、地域内で音楽療法を受けられる施設の情報が得られる場合もあります。
治療を受ける際の注意点
音楽療法は、あくまで薬物療法など既存の治療と組み合わせて行う補助的な位置づけの治療法です。

Spotifyで宗教音楽と検索するといろいろ出てくるので、そこから選ぶという手もあります。
ただ、呼吸困難などの発作が出た際にはこれらの音楽すら聴くのがきつい場合もあり、いかに静かな環境で眠れるかが重要だったりもします。
音楽と創作活動が心にもたらす力(独自視点)
ここまで、統合失調症に対する音楽療法という医療的なアプローチについてお伝えしてきました。
最後に、音楽や芸術といった創作活動全般が、人の心にどのような力を持っているのかについて、絵を描く仕事をしている私自身の視点から少しお話しさせてください。

また、片方で琵琶を習っていたり、自分で即興で音楽を作ってMP3録音したりもしています。
即興で、高い声で声を出すと、自分で歌っていながら涙が出てきたりすることもあり、感動したりします。
歌には一定の癒し効果がかなりあると思います。
音楽が言葉を介さずに感情を表現する手段であるのと同じように、絵を描くこともまた、言葉にならない感情や妄想を形にする手段の一つです。
表現する媒体は音楽と絵画で異なっていても、「自分の内側にあるものを外に出す」という行為そのものが、心に何らかの作用をもたらすという点では、共通する部分があるのかもしれません。
まとめ|音楽療法は統合失調症治療の新たな選択肢
ここまで、統合失調症と音楽療法の関係についてお伝えしてきました。
感情表現を引き出し、認知機能の維持を助け、対人関係の練習の場にもなるという点で、音楽療法は社会復帰を目指すうえでの新たな選択肢の一つといえるでしょう。
ご本人やご家族が治療の選択肢を検討する際には、まず主治医に相談し、音楽療法を含めたリハビリテーションプログラムについて情報を集めてみることをおすすめします。
よくある質問(FAQ)
Q. 音楽療法だけで統合失調症は治りますか?
A. 音楽療法は、薬物療法などの治療と組み合わせて行う補助的な治療法です。
音楽療法だけで完治を目指すものではなく、既存の治療を補い、生活の質を高めることを目的としています。
Q. 音楽の経験がなくても音楽療法は受けられますか?
A. 音楽療法は、演奏技術の上達を目指すものではないため、音楽の経験や技術は必要ありません。
音楽療法士が一人ひとりの状態に合わせてプログラムを組むため、初めての方でも参加しやすい治療法です。
Q. 音楽療法はどこで受けられますか?
A. 精神科のデイケアやリハビリテーション施設などで提供されていることが多いため、まずは主治医や地域の精神保健福祉センターに相談してみることをおすすめします。




















